一章 2

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医務室を出る時、『移動する』とだけ連絡を入れて、場所を伝え忘れていた。 スライドして電話に出ると、すぐに『どこ?』という声が聞こえて来る。 「ファーストフード」 『りょ。すぐ行くー』 いつもは何気なく聞いていたその声も、昨日のことを思い出すとなんだかムズムズとした気持ちが胸に広がってくるので、自分の気持ちがわからなくなってくる。 こんなに気にしてしまっているのに、この先も今までと変わらずに仲良くして行けるんだろうか。 そう考え込んでしまっていると、息の上がっているような音に、電話がまだ繋がっていることに気付く。 切り忘れ?いや、だったら息遣いなんて聞こえるのはおかしい。 「……佐藤?」 『……二人、今も一緒?』 「え、うん」 まだ何か話があるのだろうか。 『じゃあさ』と聞こえ、その後続く言葉を待っていると。 『あーしがそっちに着いたらもう帰ろっつっといて』 「え?」 いつもならもう少し四人でだべってから帰る所だ。 後から佐藤が来るといっても、一緒にポテト食べてだべる時間くらいはあると思ってた。 『よろ~』と、それだけ言うと、プツリと今度こそ電話が切れた。
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