一章 1

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ぽかぽかと温かい太陽の下、日陰に入ってはいるけれど、少し暑い。 買っていた麦茶を一口飲んでから目を瞑るけれど、脳裏に浮かぶのは昨日の佐藤のことばかりだ。 「ひからびるよー?和香ちゃあん」 先程別れていったはずのギャルの幻聴が聴こえるけれど、私は頑なに目を開かなかった。 私は寝てるの。睡眠が大好きなの。 「このまま寝たふり続けんならキスするよ」 やけに近い距離から声がしたと思い、驚いて思わず目を開いてしまった。 いや、このままキスなんてそんな……学校だし冗談、だとは、思、う、けど。 「おーはーよ」 そう目の前にある唇が動くと、私の眉間の筋肉がきゅっと、今日はやけによく働く。 「私の安眠を返して」 佐藤のいたずらっ子のような笑みに溜め息をついた私は、上体をちゃんと起こす。 佐藤は次の講義に出ないのだろうか。 木に背を付けてもたれている佐藤を横目で見る。 「なーに?あーしの話したことが気になって夜も眠れなかったの?」 「……急にあんな、本気なのか嘘なのかわかんない話されたら悩みもする」 「へぇ、嘘だとは決めつけないけど、ちゃんと本気の場合のことも考えてくれんだね」 「……嘘なの?」
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