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たしかに街にいこうとしたきっかけはささいなものだったよ。
昨日まで提出期限ぎりぎりのレポートを男友達とやっていて。
このレポートを提出し終わったら今期の授業の課題がすべて終わるって解放感は確かにあったよ。
その解放感に、誘惑にちょっと負けちゃっただけじゃないか。
「ねえ。」
彼女が急に呼びかける。火のものはちゃんとみてないと危ないぞ。
というかフライパンだけ見ててくれ。僕のほうを見ないでくれ。
「なんか言ったらどうなの」
なんか言ったらっていったい何を言えばいいんだ。
「ごめんなさいか?」いやこれは違う。
これは暗に夜の店で遊んだことを認めるということを示すだけじゃないか。
それはよくない。僕は遊んでなんかいない。飲み屋に行っただけなのだ。
「え?別に?なんもいうことはないよ?」
ぱちぱちっと玉ねぎの音がはじける。同時に彼女の機嫌もはじけそうである。
いけない。これは完全に悪手だった。
もっと素直になろう。夜の街で遊び倒した以外に悪かったこと…。
そうだ!それを今回の焦点にしてしまえばいいのだ。
そうだ。そうしてしまおう。
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