融合

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融合

「兄さん! おい、兄さん!」 遠くで風間さんが俺を呼ぶ声がする。 (大丈夫、俺はここにいる。 目ももう見えないし手足の感覚もないけれど、こんなに幸せな気分でここにいるんだ。 だから風間さん、そんな悲痛な声で叫ばなくていい……)  俺は心の中でそう呟いた。 リオの声が響いてくる。 「信二は私の中にいるわ。信二の記憶は私が引き継ぐ。私は取り込んだパートナーの記憶を全部抱えて生きていくの」 「ワシの足を縫えたんは、過去に取り込んだ医者の記憶があったからか!?」 「そう。いつもなら、この秘密を知ったあなたも私の中に取り込んでしまうところなんだけど」 「なっ、なんじゃと!?」 「でも、信二があなたを逃がしてやってくれって言ってるの。あなたは信用できるって。秘密を守ってくれるって。 だから特別に、今回は見逃してあげる」 「兄さんが……そう言うちょるんか?」 「ええ。ただし、信二の信頼を裏切ったときは容赦しないわ。秘密を知った者、全てを消しに来るから。覚悟しておいてね」  リオの脅し文句を聞きながら、風間さんの顔を想像する。  鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしているんだろう。見られないのは少しだけ残念だった。
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