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「勉強時間を増やせって言ってるんじゃないんだよ?」
わたしはふふん、と笑った。
浩輔は小さく舌打ちした。
「わかったよ。やればいいんだろ」
浩輔は眉を顰め、タブレットを片手に持ち直すと、わたしの腰に両手をまわしてきた。浩輔の頭は、いまやわたしの胸のあたりだ。大きくなったなあとしみじみしていたら、浩輔がふわっとわたしを抱きしめた。
「ほらよ」
「えっ、1秒もないじゃない」
久しぶりの、浩輔の五分刈り頭を堪能しようとした途端、浩輔の頭がさっと離れた。これが男の子の照れというものなのだろうか。子どもの成長とは、スキンシップの卒業も意味してしまうのか。寂しい。
「ほら約束」
浩輔は涼しい顔をして、がっかりしているわたしにタブレットを押しつけた。
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