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「大西俊之さんですね?」 「はい?」 ガタイの良いスーツの中年男性だ。後ろにも同じような人物がこっちを(にら)んでいる。 「通貨偽造の罪の容疑が掛かっています。任意でお話を伺いたいのですが……」 「は?」 「署まで御同行宜しいですか?」 「はぁ」 全く身に覚えが無い。ノミ屋の件だろうと思っていたのに、通貨偽造って偽札の事か? 訳が分からない。 俺は警察署で説明を聞いた。最近、偽1万円札がかなり流通していて出所を調べたところ、某暴力団に行き着き、その資金源が俺が通っていたノミ屋の収入だったそうだ。 それを聞いて全てを理解した。幽霊さんが俺の軽い色盲を知り、ノミ屋に通っているという事と、そこを仕切っている人物がかなりの高齢という事を調べ上げ、俺をマネーロンダリングに利用していたんだ。 1ヶ月後 俺は、とある探偵事務所で雑用係として働かせてもらっている。探偵になって、幽霊さんの居場所を調べて警察に突き出す為では無い。結果的に、違法ギャンブルから足を洗えたので、一応、彼女には感謝しているからね。今度は俺がお返しをする番だ。彼女にも悪い組織から足を洗ってもらいたい。まあ、幽霊だから足を洗わすのは難しいかも知れないけどね。 了
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