1 俺たちは、生まれ変わっても一緒と誓った覚えはない!

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1ー6 拾ってください。 どのぐらい歩いたのだろうか。 俺たちは、というか、俺を咥えた黒猫は、大きな石畳の道へと突き当たった。 その、そこはかとない文明の匂いのする道の端に俺を下ろすと、黒猫は、俺を前足で抱えるようにして抱いた。 何、すんだよ! 俺が言うと、黒猫は、答えた。 「暖めてないと、お前、天国の階段を見ることになるだろうが」 くぅっ・・ 俺は、心の中で思った。 我慢だ。 今は、我慢するしかない。 黒猫の温もりに、俺は、つい、うとうととしてきた。 なんか、眠い。 暖かいし。 猫って、いいな。 その時、ガガガ、という地響きが聞こえてきて、黒猫は、俺から体を離して、身構えた。 遠くから一台の馬車が走ってくるのが見えた。 「ちょっと、待ってろ」 黒猫は、そう言うと俺を置いて、石畳の中央へと悠然と歩いていった。 「にゃおぉおん!」 黒猫は、馬車の音に負けないぐらい大きな声で鳴いた。 ば、ばか! 俺は、叫んだ。 危ないぞ! 逃げろ、クロ! だが、黒猫は、逃げなかった。 馬車が止まった。 ドアが静かに開いて、中から金髪の少年が駆け降りてきた。 「猫、だよ!お父様!黒猫!」 少年は、黒猫に近づくと、奴をそっと抱き上げた。 黒猫は、ゴロゴロと喉を鳴らした。 「かわいそうに。すっかり冷えきってる。ねぇ、お父様、お母様、この子を連れて帰ってもいいい?」 「別にかまわんが」 馬車から少年と同じ金髪の大男が降りてきて少年の頭を撫でた。 「ちゃんと自分で世話をするんだぞ、アルム」 「はい!お父様」 おい! 俺は、声を張り上げた。 てめぇら、何、ハートフルな感じにまとめようとしてんだよ! 黒猫が身をくねらせて少年の腕から逃れると、俺の方へと駆けてきた。 「待って!」 追いかけてきた少年とその父親であるおっさんは、息を飲んだ。 「これは・・」 少年を押し止めると、おっさんは、俺の側へと歩みより、片ひざをついて俺を抱き上げた。 「なんて、惨いことを・・」 そのおっさんは、俺を抱いたまま呟いた。 「こんな幼子を捨てるとは・・」 俺は、おっさんの腕の中でその温もりにじんわりと体が解れていくのを感じていた。 「お前が、この子を守っていたのか?」 おっさんは、黒猫の方を見下ろした。 「にゃおぉん!」 黒猫がおっさんの足元へとすり寄りながら尻尾を立てて鳴いた。
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