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「本部さん」
草野が近寄り、その体を揺さぶった。
そして何かを感じて、手を本部の口に当てた。
本部は息をしていなかった。
病院に搬送されたが、本部が息を吹き返すことはなかった。
草野が木箱を手にしたまま言った。
「本部さんが命がけで封印したこのびらん。二度と封印が解けるような真似はさせません。それと……」
「それと?」
「あのバカ息子。見つけ出して青森の神社に連れて帰り、生涯をかけてこれまでの罪を償わせます」
「そうですか」
「ええ。本部さんの葬式の準備。それとあのバカを探し出す。私はこれから忙しくなりますので、これで失礼させてもらいます。ではお二人とも、お元気で」
「はい、草野さんも」
「お元気でいてくださいね」
草野が去り、桜井と大場が残された。
二人とも何も言わなかった。
だが二人のその手は、しっかりとつながれていた。
終
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