びらん

122/146
前へ
/146ページ
次へ
目は深い穴のように黒い。 そして成人女性の顔の下に、三歳くらいの幼女の体があった。 首のところは目で見てもどうなっているのかよくわからない。 とにかくどう見ても生きている人間とは思えない。 ――びらんだ。 桜井はそう思った。 今自分の前にわけのわからないものが現れるとしたら、びらんしか考えられない。 おまけにびらんは、若い母親と幼い娘の二人でびらんになっていると聞いた。 こいつは成人女性の顔と幼女の体を持つ。 びらんと考えるのが当然だ。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加