5人が本棚に入れています
本棚に追加
桜井の驚きは大きかったが、恐怖とかそういうものはあまり感じなかった。
それはびらんがそういう空気を醸し出していたからだ。
びらんは見ている。
ただそれだけなのだ。
そこにはなんの思考も感情も見いだせなかった。
しばらくのままだったが、やがてびらんはテーブルの向こうからすうっと消えた。
桜井は少しの間びらんの消えたあたりを見ていたが、やがて我に返り、電話を手にした。
相手は本部だ。本部が出た。
「もしもし本部さんですか。桜井です。たった今私の前にびらんがと思われるものが現れました」
「そうか、やっぱりな」
最初のコメントを投稿しよう!