びらん

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「悪霊ってそういうものなのですか?」 「うむ。特に強い悪霊とはそういうものなのさ。私は若いころからさんざん見てきたが、みなそうだった。ところで桜井さんはびらんを見ただろう」 「見ました」 「どう思った?」 「どう思ったって。人間ではない化け物だと思いました」 「そうではなくて、怖いとか、こんなやつとやりあうなんて嫌だなあとか、思わなかったか?」 「それは全然思いませんでした」 「じゃあびらんを封印するという意思は、変わりはないんだな」 「ええ、少しもありません」 「よかった。さすが、私がみこんだけのことはある」
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