びらん

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そして桜井が言った。 「それじゃあ、明日必ず」 「それじゃあ」 「はい、それでは」 電話は切られた。 大場と話をしていると、桜井の疲れた心が少しだけ癒された。 桜井が待っていると、正午きっかりに呼び鈴が鳴らされた。 でるとやはり本部だった。 「それじゃあ、行くぞ」 部屋を出て駐車場に行くと、本部が指さす車の運転席に中年の男がいた。 そして後部座席には若い男が。 この二人がかつてびらんを封印した男の息子と孫なのだろう。 桜井はそう思った。 車に着くと本部が言った。 「運転席にいるのが昔びらんを封印した男の息子、草野正司だ。そして後ろにいるのが草野の息子、信一だ」 桜井の予想通りだ。
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