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バンッ!!
ドカッドカッ!
8人の騎士はヤギンスを先頭に山小屋の中へ入る。ヤギンスがしたり顔のまま声高に言う。
「セルジオ殿っ!
『青き血が流れるコマンドール』であっても
お独りでは我らに敵いますまいっ!!」
ヤギンスは含み笑いを浮かべる。慇懃な態度でセルジオへ言い放った。
「お怪我をなさる前に我が隊へ御身を預けられよっ!」
ヤギンスの言葉を合図に2人の騎士が剣を手にセルジオへ歩みを進めた。
サッ!!
ヤギンスは頬に一筋の風を感じた。
『なんだ?この風は・・・・』
ゴッゴロンッ・・・・
ガチャンッ!!
と思った瞬間、セルジオに歩み寄った2人の騎士の首がヤギンスの足元に転がる。
一瞬の出来事に呆然としたヤギンスは我に返った。
立ち尽くしている5人の騎士へヤギンスは怒鳴る。
「引けっ!」
剣先についた血を振り払うセルジオの深く青い瞳が鋭く光り、その身体からは『青白い炎』が燃え上がっていた。
「この身をそなたに預けろと申すか?」
ゾクリッ!
セルジオの発した言葉にヤギンスは背中に寒気を感じる。
身体が強張るのがわかる。
『これが『青き血が流れるコマンドール』か!』
ヤギンスは後ずさり、感じた事のない恐怖を覚えた。
頭の中に古の伝説の騎士の言い伝えがこだまする。
『その者、青白き炎を携え、剣を振るう。
剣は青き光を放ち一撃にて一団を切り裂く。
黄金に輝く髪、深く青い瞳、
透き通る肌には青き血が流れる。
その名を持って国を守り、
その名を持って国に安寧をもたらす』
ブルッ!
ヤギンスは言い伝えと眼の前にいるセルジオの姿が重なり身震いをした。
ブワンッ!
セルジオは双剣の構えを見せ更に『青白き炎』を湧き立たせる。
手にするサファイヤの剣が青く光を発している。
セルジオは立ち尽くすヤギンスへ向け更に深まった青い瞳を見開いた。
「そなたらに預ける身などないっ!」
ザッザザッ!!
セルジオはヤギンスの両隣りにいる騎士へ剣を振るった。
シュシュシュッ!
同時に表扉から矢がセルジオに向かう。
カッカッカッ!
セルジオが剣でかわした矢が木の床に刺さる。
ヤギンスはセルジオを目で捕え、大声で号令をかけた。
「一斉に射よっ!」
弓隊が山小屋の中へ射程を定める。ヤギンスら6人は扉の両脇へ退いた。
カンッカンッカンッ!
カコッカコッ!
グサッ!グザッ!
かわしきることのできない矢がセルジオの右肩を貫いた。
『ぐっ!!・・・・この距離ではかわしきれぬかっ!』
セルジオは体勢を立て直す。
「かかれっ!」
一瞬の隙も逃さぬ勢いでヤギンスが騎士へ号令する。5人の騎士は一斉にセルジオへ剣を振るった。
カンッカンッカンッ!
ザッザッ!
『流石に先鋒隊だな』
戦闘の中、セルジオは時を計っていた。
『あのまま行けばメアリらは
シュバイルとサントに出会っている頃。
堤が切れるまで持つかっ!』
セルジオが山小屋へ入って直ぐに栓を抜いた油桶の油が足元に漂い始めていた。
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