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セルジオは山小屋の中へと歩みを進め、建ちあがるまでの事を思い返していた。
「オーロラ、
竈と石窯は
東西へそれぞれつくるぞ」
セルジオが山小屋を見張り小屋と兼ねるつもりだと察してオーロラは微笑んだ。
「セルジオのお好きな様に。
ここが戦場になると考えると・・・・
油桶も必要ね」
光と炎の魔術の使い手はセルジオの思惑を読み、いたずらっぽく言う。
「ふっ、オーロラにはかなわぬな」
セルジオは優しく愛おしそうな眼差しをオーロラへ向ける。
「酒樽と思わせて、
油樽を用意しましょう!
山小屋の屋根が吹き飛ぶ程となると・・・・
6つかしら?」
オーロラは真剣に考えていた。自らも戦場へ赴く魔導士だからこそ、セルジオの『万が一の備え』には人一倍敏感だった。
「セルジオ、
隠し扉も必要ね。
裏手から逃れられる様にしておけば・・・・」
「そうだな。
裏手から屋敷へ通じる隠し道も用意しよう」
戦場と仮定した『山小屋の役割』を2人は徐々につめていった。
セルジオは半年程前の山小屋を建てる策を巡らしていた時を思い返し独り言ちする。
「ふっ、オーロラ・・・・
あの時の話が現実のものとなったぞ・・・・」
セルジオは北戦域にいるオーロラへ想いを馳せ山小屋の役割を思い返していた。
キュッギィギィ・・・・ポンッ!
キュッギィギィ・・・・ポンッ!
山小屋奥へ進むと酒樽と見せかけた6つの油樽の栓を抜く。
油が少しづつ床を満たしていった。
ゴッゴッゴーーーーッ!
セルジオはメアリ達が逃れ出た裏手口を木の棚を移動させ隠した。
一通り、戦闘時の山小屋の役割準備を済ませるとセルジオは再び外の気配を感じ取った。
『山小屋は弓隊に包囲されたか・・・・
裏手には回ってはいないな・・・・』
山小屋の裏手は隠し扉と隠し道を隠す為に樹木がうっそうと茂っている。
セルジオが裏手の気配を感じ取った瞬間、ヤギンス含めた騎士8人が山小屋の表扉を勢いよく開けた。
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