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セルジオは時を計っていた。
エリオスが堤を切るまでの間、先鋒隊をこの場に留めるための応戦だった。
エリオスが堤を切るまでの時を稼ぐため、セルジオははじめに山小屋へ足を踏み入れた2人の騎士以外は首を落とさずにいた。
セルジオはサファイヤの剣に気を吹き込む。カッと目を見開くとサファイヤの剣が青白い光を帯びた。
『そろそろだっ!
次は容赦はせぬっ!』
ヤギンスが小屋の外へ出るのと同時に先鋒剣隊が二人一組で山小屋へ攻め入った。
キィィィン!
シュッ!ゴロリッ・・・・
キィィィンッ!
シュバッ!ゴロリッ!
二人一組で山小屋へ突入してくる剣隊の首がセルジオの振るう剣から発せられる青白い三日月形の閃光と共に床に転がり落ちる。
山小屋の中はみるみる騎士の落された首から吹き出す血で真っ赤に染まっていく。
「くっ!はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
床に広がり出した油の上に首から血を吹き出す騎士の躯が重なる。
セルジオは次々攻め入る剣隊の応戦に山小屋の外の様子を計りかねていた。
『くっ!外の様子がわからぬ!
後、いかほど剣隊がいるのか?
これ以上躯が増えては火が広がらぬっ!』
火を放つ機を見ていたセルジオは一瞬、躊躇した。
ガキィン!
スバッ!
ドザッ!
右肩に重たい衝撃を受けた次の瞬間、右肩に熱いものを感じる。
矢を射られ動かせずにいたセルジオの右肩から右腕が切り落とされた。
「くっっ!」
セルジオは床に転がる自身の右腕を一瞥する。
ブシュゥーーーーッッ!
右肩の切り口から血液が吹き出した。
その姿を見たヤギンスは声高に言い放つ。
「セルジオ殿っ!
今一度申す。これまでですぞっ!」
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