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サアァァァァ・・・・
返り血を浴び所々赤く染まったセルジオの金色の髪を風がゆらした。
血の臭いが充満した山小屋の中にユリの花の香りが風にのり漂う。
セルジオはハッとする。
『セルジオ、加勢するわ』
ふんわりとユリの花の香と共にオーロラの声がセルジオの耳元で囁いた。
「・・・・オー・・・ロラか?
オーロラなのか?」
『そうよ、オーロラよ。
セルジオ。また、独りで無茶をしたのね・・・・
右腕の止血をするわ』
柔らかな炎が血液が吹き出す右腕の傷口をふさぐ。
『後は・・・・種火はこれね』
ポッ・・・・
セルジオの目の前に小さな炎の火種が浮かんだ。
セルジオはサファイヤの剣の剣先に宙に浮かぶ火種を灯す。
北戦域へ赴いているオーロラがセルジオの馳せた思いを汲み取り、姿なく加勢に来たのだ。
「オーロラ、すまぬ!
アンとキャロルの安否が解らぬっ!
されどこのまま堤を切るっ!」
セルジオは耳元で囁くオーロラにそっと言葉を返す。
『大丈夫よ、心配しないで。
メアリとアンとキャロルは、エリオスの所に着いたわ。
安心して。セルジオ、後はあなたの思うがままに・・・・』
オーロラの言葉を受け、セルジオは胸をなで下ろす。
「そうか。
エリオスの所へ着いたか。
よかtった・・・・」
ほっとした優しい微笑みを宙へ向けた。
シュッ!
セルジオはサファイヤの剣の剣先に灯した火種を放った。
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