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シュバイルとサントはメアリらを西の屋敷南門まで送り届けると第三の堤にいるエリオスの元へ急いだ。
「エリオス様、
ただ今、メアリ様方を城内へお連れ致しました」
シュバイルとサントがエリオスの元に戻る。
エリオスは不安をかき消すように少し強い口調でセルジオの所在を確認する。
「シュバイル、サント、よく戻ったっ!
メアリからセルジオ様の事を聞いたか?」
エリオスは胸が締め付けられる感覚を振り払う。
シュバイルはかしづき答えた。
「はっ!聞きましてございます」
エリオスが急き立てる。
「して!何と申された!セルジオ様はご無事か!」
シュバイルは今しがたメアリから聞いたままをエリオスへ伝えた。
「メアリ様方は先鋒隊が到達寸前に山小屋の中へ入られ、
隠れたそうにございます。
騎士が3人山小屋の扉を開けたと同時に
外が騒がしくなり、
セルジオ様が騎士の1人を後ろ手に捕えると
メアリ様方を逃したそうにございます。
その後は解らぬとのこと・・・・」
シュバイルの声が小さくなる。
ガンッ!
エリオスは頭を強く叩かれた様な痛みを覚えた。
『お独りで先鋒とまみえたか!』
「わかった。
そなたらも無事で何よりだった。
礼を申すぞ」
エリオスはシュバイルとサントにねぎらいの言葉をかけると激流が渦巻く西の砦を見下ろした。
『セルジオ様ぁぁぁ!!!!』
エリオスは届かない声を上げたい想いを必死で封じ込めるのだった。
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