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Prologue
消極的で人付き合いも苦手な秋村博は、ずっと根暗な人物としてカテゴライズされていた。
声を掛けられても、どういう風に対応をしたらいいのか分からない。それなら、話しかけるなというオーラを放つのが一番の得策だという結論に達する。だから、休み時間や放課後は出来るだけ人との関わり合いを持たないために、幼馴染の北瀬翼と2人で行動を共にしていた。
コミュ障で見た目も地味で暗い博は、女子と目が合うだけで「キモッ」「暗ッ」と言われ、嫌悪感の塊みたいな表情で見られてしまう。
少し会話をすることが苦手で、イケメンでもなくただ地味なだけなのに、キモイだなんてあんまりだ。
――こいつら全員ブスのくせに。
博の自尊心を傷つけてくる女子の反応に、今に見てろよと心の中で悪態をつくのが精一杯。
自分のことを棚に上げ、弱そうに見えるヤツを攻撃する。それでいて、クラスの人気者やイケメンには手のひらを返したように、腰をくねらせながら猫なで声で近づいていくのだ。
その様子を眺めながら、いつかあっち側に行って近づいてきたヤツらを思いっきり振ってやるんだからな、と中学生の時には下唇を噛み締めたのだけど。
だけど、だけど、だけど……!!
高校デビューを目論むも、失敗。
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