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第四章 公爵令嬢変身計画
「さて、まずはダイエットを始めるわよ!」
「ダイエット、ですか?」
「ええ。期限のパーティーまでに二十キロ……と言いたいところだけど、とりあえず十五キロ痩せてもらいます」
麻里の言葉をしっかりと聞きながらも、セレンティーヌは不安そうな表情を浮かべている。
あの日、麻里の素顔を見たサイラスとセレンティーヌの衝撃はすごかった。
そこで二人は麻里に懇々と説教という名の説得をされ、最後には三ヶ月の間麻里の言う通りに努力を続けることをセレンティーヌに約束させ、サイラスにはそれに対して文句を一切言わないよう約束させたのだ。ちなみに公爵にも許可を得ている。
「今まで運動という運動をしていなかったセレンにいきなり過激な運動をさせるつもりはないし、楽しく長く続けられるように私も色々考えているから、そんな不安そうな顔しないの!」
ペチンと額を叩いてやると、両手で額を押さえて困ったようなシュンとしているような、何ともいえないその表情が可愛らしくて、思わずギュウッと抱きしめながら、頬擦りをする。
満足いくまでセレンティーヌを堪能した後は、運動しやすいように二人揃ってドレスから運動着へと着替える。
この世界にはTシャツやジャージなんてものはないので、とり急ぎセイロン公爵家御用達の商会に口頭で簡単に説明をして、なんちゃって運動着を作ってもらったのだ。
少し大き目のシャツと、柔らかい生地でダボダボに作ってもらったパンツの裾には紐が通っていて、結べば裾が邪魔になることはない。
本当はゴムを入れたかったのだが、この世界にはないようなので諦めて紐で作ってもらった。
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