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「いや、このスイッチ押しただけだけど……。とりあえず動くのに邪魔だし危ないから、強面さんたちを下がらせてくれない? でないと動かせないわよ?」
そう言えば、美形王子様男子は直ぐに強面さんたちを下がらせてくれた。
彼らは色々と言っていたようだけと、美形王子様男子には逆らえないのか渋々といった体で車から距離をとる。
それを確認してから、ゆっくりと円を描くように車を動かしてからもとの位置に戻って停車した。
フゥ、と一息ついて一度エンジンを切ってから車を降り、美形王子様男子の元に向かう。
「こんな感じだけど、ここじゃスピード出せないから……」
話途中でガシッと両肩に手を置かれ、前後に勢いよく揺すられた。
「君、このクルマとやらに私も乗せてもらえないか? お願いだ!」
そんなに強く揺らされたら、気持ち悪っ、うぷ。
顔を段々と青くしていく麻里を助けてくれたのは、ドレス姿の残念な女の子だった。
「お兄様、お止めくださいませ。そんなに揺すられてはお話出来ませんし、何よりその方、顔色がよろしくありませんわ」
その声に落ち着きを取り戻したのか、ようやく美形王子様男子は麻里の肩から手を離してくれたのだ。
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