第一章 異世界に来てしまった

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 今、とっても座り心地の良いソファーに座り、目の前には良い香りのする紅茶とお菓子が並べられている。 「君、鑑定水晶を持って来てくれ」  使用人に何やら持ってきてもらうようにお願いすると、サイラスは先ほどの続きの説明を始めた。  まずこの世界には魔法があって、火・水・風・土の四つの属性があるとのこと。  すべての人間が魔法を使えるわけではなく、遺伝によるところが大きいらしい。  そして、貴族は殆どの者が使える。  詳しく聞けば、想像したような大きな魔法が使えるわけではなく、どうやら生活魔法程度のものとのこと。  スキルというのは、その魔法以外の便利な能力と言ったらいいのか……。  迷い人が持っていたとされるスキルは、アイテムボックスや鑑定や転移魔法などが多いのだとか。  どれもとても珍しく便利なスキルだそうで。  誰でも一度は耳にしたことがあるような定番と言えば定番もののスキル名。  迷い人は基本魔法を使えないらしい。  魔法スキルがあれば別らしいけれど。  そのスキルは今のところ、一人につき一つとのこと。  そこまで聞いたところで、先ほどお願いされていた使用人が、大切そうに箱を抱えて戻って来た。  サイラスはそれを受け取ると、早速蓋を開ける。  中には高級そうな布が敷かれ、その上に水晶玉が鎮座していた。
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