第一章 異世界に来てしまった

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 助けてもらえるのは、正直物凄く助かる。  でも、公爵って私が知っている爵位と同じだとしたら、王族の次に高い位じゃなかったっけ?  調度品や使用人の数やら見ても、財政難とは無縁そう(寧ろめちゃくちゃ裕福そう)だし、きっと私利私欲のために近付こうとする人間なんて吐いて捨てるほどいるだろう。 (私が言うのも何だけど、もっと警戒心を持とうよ) 「……セレンティーヌさん? そんな簡単に他人を信用したらダメ! もしかしたら異世界から来たなんて、私が嘘言ってるかもしれないでしょ? あなたたちを利用しようとしているかもしれないでしょ? 悪い人間かもしれないでしょ?」  人が一生懸命に注意してるというのに、この兄妹は麻里のことを、とても微笑ましいものでも見るような目で見ている。 「騙そうとしている方は、そんな風に注意されたりしませんわ。それに、わたくしは本来とても警戒心が強いのですよ?」  なんて言うセレンティーヌを失礼は承知でジト~ッとした目で見れば、彼女はワタワタし始めた。 「ほ、本当ですのよ? そうですわね、お兄様」  今度は兄であるサイラスに必死にすがるような視線を向ける。
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