第一章 異世界に来てしまった

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 何だろう? サイラスと違って決して綺麗な顔をしているわけではないのだけれど、雰囲気というか、セレンティーヌはとても可愛いのだ。  あざといとか、計算とか、そういうのとは全く無縁な天然ものと言えばいいのか。  思わず頭を撫でたくなるような可愛さがある。  まるで……そう、ゆるキャラ的な感じの癒し系というのが近いだろう。  ということで、ギュウッと抱きしめて頭を撫で撫でさせてもらっている。 「はぁ、何か癒される」  麻里の腕の中で顔を真っ赤にして照れて固まっているセレンティーヌと、彼女を抱きしめて撫で撫でしながらニヤニヤしている怪しい麻里。  それを見ていたサイラスが、 「どちらにしても、マリ殿はこちらの世界に知り合いなどおられないでしょうし、今日はこちらに泊まって下さい。保護の件については、今はまだ私に決定権はありませんので、当主である父が帰ってきたら私から話をします」  と言って家令を呼び、すぐさま麻里の部屋を用意してくれた。 「あの、正直泊めてもらえて助かります。ありがとう。それで、私の車だけど、あのまま庭に置いておいていいの?」  わざとじゃないとはいえ、芝生の上を走ったのだから、多少なりとも芝生を傷めてしまっただろう。
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