62人が本棚に入れています
本棚に追加
急いで車寄せの端の方へと車を移動させ、エンジンを切って先に車を降りる。
まず運転席の後ろのドアを開け、セレンティーヌに降りてもらい、そして助手席側に周りドアを開け、サイラスに降りてもらう。
その間に馬車は門を潜り玄関前で停まると、サイラスたちの父親であるセイロン公爵らしき人物が、馬車からゆっくりと出て来た。
どうやらサイラスは父親似であるらしい。
髪色以外はほぼ一緒と言ってもいいほどに似ている。
因みにセイロン公爵は金髪で、サイラスは茶髪である。
セレンティーヌは金髪に菫色の瞳をしているので、髪は父親に、瞳の色はきっと母親に似ているのであろう。
サイラスとセレンティーヌがセイロン公爵の元へと近付き、挨拶を交わす。
「父さん、お帰り」
「お父様、お帰りなさいませ」
「ああ、ただいま」
そしてセイロン公爵が視線を麻里へと向けると、
「ところで、そこの女性はどなたかね?」
と尋ね、サイラスが麻里をセイロン公爵へ紹介する。
「彼女は迷い人のマリ・ミズタ殿です。先ほど屋敷の庭に、そちらにあるクルマなるものに乗って現れました」
「ほう、あれはクルマというのか。馬もいないのにどうして動くのか不思議に思って見ていたのだが、あれは迷い人であるマリ殿の世界の乗りものなのかな?」
最初のコメントを投稿しよう!