第二章 スキル『所持品リセット・セーブ』

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第二章 スキル『所持品リセット・セーブ』

「……何か、落ち着かない」  どこのスイートルームですか? と聞きたくなるような広い部屋に、一目で高価であると分かる品の良い調度品の数々。  大きなベッドはシーツがピシッとシワ一つなく整えられており、気楽にゴロンとしてシワをつけるのも何だか申しわけない気がして、仕方なくソファーに腰掛けているところである。  あの後(・・・)、セイロン公爵とサイラスとセレンティーヌ兄妹と晩御飯を一緒にいただいて、それから座り心地の良いソファーのある応接間に皆で場所を移し、麻里の今後についての話をしていたのだ。  結果を言えば、無事セイロン公爵邸に居候させてもらうことになった。  それについて条件と言えるほどではない条件を言われたのだが、また車に乗せて欲しいということと、異世界(麻里のいた世界)の話を聞かせて欲しいということだった。  ……まぁ、言葉通りには受け取っていない。  少し話しただけでも分かる。  セイロン公爵はとんでもないタヌキ爺だ。  異世界人である麻里の利用価値を、頭の中で算盤弾いているだろうことは容易に想像出来る。
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