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用事は終わったとばかりに椅子から立ち上がり、喉が乾いたことに気付いてベッド脇のテーブルの上に置かれた果実水をコップへと注ぎ、ゴクゴクと一気に体内へ流し込む。
目の前のベッドにダイブしてサッサと寝てしまいたいところではあるが、まだ髪が乾いていないため、仕方なくソファーへ腰を下ろした。
「もう少し髪が長ければ、結んだり編み込んだりして寝癖を誤魔化せるんだけどなぁ。……髪、伸ばすか」
小さく溜息をついて、豪華な広い部屋を見渡す。
本当であれば、今頃はホテルのジュニアスイートに泊まっているはずだった。
とはいえ、絶対にホテルのジュニアスイートよりもこの部屋の方がグレードは高いだろう。
「あまりにも豪華すぎて落ち着かないって、根っからの庶民なんだなぁ、私」
苦笑を浮かべつつ、何ともなしに部屋をぐるっと見渡してみる。
そして、麻里の腰の高さほどの本棚で目が止まった。
(そういえば普通に喋っていたけれど、この世界の文字ってどうなんだろう?)
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