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ソファーから立ち上がり、本棚に向かって足を進める。
ギッシリと詰まった本の背表紙に書かれた文字は、正直古代エジプトのヒエログリフのようで『うわ、読めない!』と思ったのも束の間。
一瞬そのヒエログリフ擬きがグニャリと歪んだかと思うと、次の瞬間には普通の日本語に変わっていたのだ。
「……え? 何それ」
慌てて適当な一冊を手に取り開いてみれば、ウニョウニョと並んでいたヒエログリフ擬きが一瞬で日本語へと変わっていく。
「え〜っと、読めるようになって良かったね✩てことでいいのか? これ」
何だか意味が分からないが、とりあえず本は元の場所に戻して無言でソファーへと戻る。
普通に話すことは出来るし、文字を読むことも出来るらしい。
だが、自分が書いた文字はどうなのだろうか?
この世界の人に読める文字に変換されるのか、されないのか。
それによって、今後やらなければならないことが増えることになるのだが。
……それは明日セレンティーヌかサイラスに確認してもらうことにしよう、うん。
色々と考えているうちに髪も乾いたようなので、あの豪華な天蓋付きのベッドへと移動する。
出来るだけシーツにシワが寄らないようにゆっくりと横になる。
どうせ、朝起きた時にはある程度シーツがよれていたりするだろうが、意識がない時ならばいちいち気にすることはないから良いのだ。
肉体的には大して疲れてはいなくても、精神的にはかなり疲弊していたのだろう。
枕に頭をつけるとあっという間に眠ってしまったのだった。
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