第二章 スキル『所持品リセット・セーブ』

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 翌朝。麻里は鳥の(さえず)りで目を覚ました。  そんなことは今まで生きてきた中で、一度もなかったと思う。 「なんか、とんでもなく爽やかな目覚めって感じ?」  苦笑を浮かべながらベッドから出ると、鏡台に置いてあった化粧水と乳液を持って洗面所へ向かう。  洗顔フォームをネットを使って泡立て、泡を手に取り包み込むようにして顔を洗っていく。  しっかりと洗い流し、ふかふかのタオルで顔を拭くと、いつものように無意識に「ふぅ」と息を吐いていた。  鏡に映るのっぺり平凡顔は、何だかんだでしっかりと睡眠がとれたお陰か、クマは出来ていなかった。  落ち着かないと思っていたはずの立派なベッドは流石というか、ものすごく寝心地が良かった。  これからはあのベッドで寝起きをするのかと思うと、不思議な気持ちになる。  この世界に来る前、麻里は暇つぶしに携帯小説などを読むこともあった。  頻繁にではなかったが、中でもファンタジーものは気楽に読めるため、『異世界転移』や『異世界転生』などの話はそれなりに面白く読ませてもらっていた。  まさか、自分がその立場(・・・・)になるとは思ってもみなかったけれど。
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