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メイクを終え着替えたタイミングで、扉をノックする音が聞こえた。
「はい、どうぞ?」
「失礼致します」
昨日案内してくれた使用人さんが、朝食の支度が整ったことを知らせに来てくれた。
「ありがとうございます」
笑顔でお礼をいえば、使用人さんもニッコリ笑顔を返してくれる。
彼女に続いて食堂へ向かうために部屋を出た。
なんといってもお城的な建物だし、一人で行こうとしたら絶対に迷子になるだろう自信がある。
一日でどこに何があるかなんて、把握出来るわけがない。
廊下も広く、所々に甲冑やらお高そうな壷やらが置かれており、うっかりそれらを壊したり傷付けたりしないよう、廊下のど真ん中を歩いている。
ふと一休さんの『このはし渡るべからず』が思い出されて、一人苦笑を浮かべた。
食堂には既にセレンティーヌとサイラスが席に着いていた。
セイロン公爵は既に朝食を食べ終えて王宮に向かったようだ。
「おはようございます。お待たせしてすみません」
「おはようございます。お気になさらず」
「おはよう。昨日はよく眠れたかい?」
「ありがとう。お陰様で、頭を枕につけた瞬間からグッスリ!」
笑顔の麻里にセレンティーヌは嬉しそうに笑みを浮かべ、サイラスは「そうかそうか」と満足そうにウンウンと頷く。
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