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こういう『ダメなこと』を人に教えるのって、本当に勇気がいることだと思う。
それでも麻里の今後のことを考えて、きちんと教えてくれたセレンティーヌはやっぱり良い子だと麻里は思った。
「そうなんだ。教えてくれて、ありがとう!」
満面の笑みでそう返せば、セレンティーヌはホッとしたように笑顔を見せた。
「けど、そしたら彼のことは何て呼んだらいいのかしら?」
「『サイラスさま』で良いと思います。あまり親しくない令嬢や子息の方をお呼びになる場合は『○○伯爵令嬢』というように家名と爵位を付けます」
「へぇ〜、ありがとう。何か私がいたところとここでは常識が異なることが多そうだし、その辺を色々教えてもらえたら助かるんだけど」
「それなら、マリ殿にはマナーと歴史の先生をつけてもらえるように、父に頼んでみるとしよう」
「わ、助かります!」
「他にも何か必要なものがあれば、遠慮せずに言ってくれ」
「ありがとうございます。それなら、必要なものというか確認したいことがあるんですけど」
「何かな?」
「えと、言葉はちゃんと通じますし、こちらの文字も読むことは出来るんですけど、私が書いた文字がこちらの世界の方に読めるのかどうかを確かめたいんです」
「どういうことかな? 読めるのなら書くことは可能ではないのかい?」
「いや、う〜ん、何て説明したらいいかな……」
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