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テーブルの上に置かれたそれらに何やらキラキラとした瞳を向けて、何とも楽しそうな表情のサイラスとセレンティーヌの二人。
……これは、さっさと書けということだろう。
麻里は苦笑を浮かべつつ、初めて使用する羽根ペンを手にとった。
インク壺に羽根ペンの先を浸し、早速紙に書こうとして……何を書くか考えていなかったために手が止まる。
二人のキラキラした瞳から発せられる圧に耐えられず、半ばヤケクソ気味に名前と住所を書いてみた。
羽根ペンは紙に引っかかりやすく、ボールペンなどに慣れている麻里には何とも書きにくく、都度インク壺に浸してインクを補充しなければならないのが面倒くさいと感じた。
コツが掴めれば、また違うのだろうけれど。
水田 麻里
千葉県○○市○○
番地は省いて書いたのだが、さて、サイラス達はこれを読めるのだろうか?
読めるのならば、文字の読み書き練習は必要ないものとなるが、もし読めなかった場合。
一から習わなければならなくなるのだ。
それはそれで面倒くさい。
心の中で『読めますように』と必死に神頼みである。
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