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「マリ・ミズタ。チバケ、ン○○、シ○、○?」
サイラスが少しだけ首を傾げながら読んでいった。
区切る部分が何だかおかしくはあるが、ちゃんと読めているようである。
「良かった、ちゃんと読めてるみたい」
ホットして笑顔で麻里がそう言えば、サイラスが不思議そうに質問してくる。
「このチバケ、ンから始まる文字は何を表しているんだい?」
「ああ、これは私が向こうにいた時の住所を書いてみたの」
「なるほど。どうりで聞いたことのない言葉だと思った。ところでマリ殿はこの後何かする予定はあるのかな?」
「予定? 特にはないけど……、とりあえず車の中に積んである荷物を部屋に運ぼうとは思ってるわ」
「では、その後にマリ殿のいた世界の話を聞きたいのだが?」
「ええ、大丈夫よ。……あ、誰か手の空いている方にお手伝いをお願いしたいのだけど」
昨日はとりあえず旅行バッグとコスメシリーズの入った段ボールの中でも一番小さなものだけを部屋に運んでもらったので、車の中には段ボール二箱と撮影用機材などが残っている。
どうせならば一度に全部部屋に運んでしまいたい。
この広い御屋敷を何回も往復するのは勘弁である。
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