第三章 賭け

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「誰が強いって? たった数カ月で私のことを分かったように言うのはやめてくれる? それにずっとこのまま、セレンにこの屋敷の中だけで生きていけって? あなた達のすべきことは、こんな狭い世界に彼女を閉じ込めておくことではないでしょう? そんなのは優しさでもなんでもない!!」 「も、もうやめてください! お兄様を悪く言わないでくださいませ。お兄様は私のためを思って……」 「あなたのためを思って? そんなの、周囲の悪意から耳を塞いで甘やかしてきただけじゃない。あなたは少しでも努力をしてきたと言えるの? 何もせず、ただ閉じこもって逃げていただけでしょう? 周りの人達も、そんなあなたに努力をするよう言った人は? いないでしょう?」 「あ、貴女に、誰よりも美しい容姿をもつ貴女に、わたくしの気持ちなど、分かるはずがありません!!」  悲痛な叫び声を上げるセレンティーヌに、麻里の瞳がスッと細められる。 「ふ〜ん。あ、そう。……そこまで言うのなら、ちょっとここで待ってなさい。いい? すぐ戻ってくるから、こ・こ・で、待ってなさいよ!?」  麻里はビシッと指差してそう言うと、怒りを顕にズンズンと音がしそうな歩き方で部屋を出ていき、その後ろ姿を兄妹は呆然と見送った。
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