第四章 公爵令嬢変身計画

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 小一時間ほど軽いストレッチをして、簡素なワンピースに着替えてからは庭の散歩に出掛ける。  庭と一口で言ってもかなりの広さがあるため、セレンティーヌには丁度いいウォーキングになるだろう。  そもそも今までのセレンティーヌの生活は、食事の時とサイラスとお茶をする時以外はほとんど部屋に篭って読書や刺繍の時間にあてていたのだ。  運動といえば、たまにダンスの練習があるくらいである。  いや、セレンティーヌだけでなく、貴族の令嬢といえば予定がなければ(・・・・・・・)大体がそんな生活をしている。  セレンティーヌと違うのは、他の令嬢達はお茶会やパーティーへ出席するため、それなりに外出しているのだ。  つまり、他の令嬢以上に運動をしていないセレンティーヌが運動を始めれば、ある程度は簡単に痩せるはず。とはいえ『ある程度は』である。  それ以上に痩せようとするならば、努力や忍耐が必須となるのは当然のこと。  セレンティーヌのやる気を出させ、『辛い』を『楽しい』に変換させて長く続けられるようにするために、頭の中でアレコレと計画を立てていく。  計画と言っても、運動と食生活の見直しがほとんどだけれど。  この世界の食事はそれなりに美味しくはあるが、肉中心のこってり系料理が多く、カロリー高めである。  この食事ではダイエットにはならないし、公爵やサイラスや使用人に至るまで、セレンティーヌを甘やかしまくるあの環境下では短期間で結果を出すのは難しいと考え、敷地内にある別邸にて期間限定のダイエット合宿をすることにしたのだ。  別邸は普段使われておらず、一年のうち使用されるのは数週間程度らしいが、きちんと清掃はされているとのこと。  何とももったいない話ではあるが、今となっては都合がいい。  キッチンもあるので、野菜と魚を中心とした食材を運んでもらい、一日三回、私の作ったダイエットメニューのみを口にしてもらう。  規則正しい生活を心掛けるために、しばらくは以下のようなスケジュールを続けてもらうことになるだろう。 ・起床 ・朝食 ・ストレッチ ・ウォーキング ・昼食 ・自由時間 ・ヨガ ・夕食 ・入浴 ・マッサージ  慣れてきたら、両足に重りをつけて生活してもらうことにするつもりだ。
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