第一章 異世界に来てしまった

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 とにかく可愛く、がテーマなのだ。  商品そのものも可愛く、使って可愛く。  持って使ってもらうだけで宣伝になるはずだ。  ケースなんかも細部にまで拘ったために、商品が手元に届くのがギリギリになってしまい、送られてきた箱ごと車に乗せた。  その他にも、ホテルの部屋にはアメニティーグッズも揃っているけれど、私には長年気に入って使っているものがあるので、それも車に詰めこんだ。  あとで『あれも持ってくればよかった』と思うのが嫌なので、使うかは分からないものも、とりあえず車に詰めこむ。  ちなみに友人からはとにかく何でも持ち歩くので、ドラ○もんと呼ばれていたりする。  結果、車の中は荷物だらけになってしまったが、仕方がない。  そして、都内のホテルに向かって車を走らせていたのだけれど。  どんよりと灰色の雲が空を覆い、今にも降りだしそうな空模様でも、麻里の気分は上場だった。  なんなら鼻歌でも歌いそうな気分で運転し、高速道路に乗って少し経った時のこと。  ニュースでは時折目にしてはいたけれど、まさか本当に逆走する車がいるなんて思わなかった。  慌ててブレーキを踏み、ハンドルを思い切り切ってしまった。  当然のごとくスピンする車。  恐怖に目を開けていられなかった。
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