第一章 異世界に来てしまった

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 どれくらいの時間が過ぎたのか、気が付けば車は止まっているようで、でも自身の心臓がこれでもかというほどに激しく脈打ち、耳の横に心臓ついてるの? と思うほどに大きく鼓動が聞こえる気がした。  ヨロヨロと車を降りるが、腰が抜けてしまっていたようで、立てずにその場に蹲る形になってしまう。 「あ~~~、死んだかと思った……。ダメだ、腰抜けた」  生きてて良かったと思いながらも、余りのショックに少し気分が悪い。 「貴様は何者だ!」  突然大きな声がして顔を上げれば、なにやら物騒なものを持っている強面の方たちに囲まれていた。 「え? 何者? って、あれ? ここどこ? 城? え? 何で? 高速道路は……?」  高速道路を走っていたはずが、何やら目の前には白い小さなお城のようなものが見える。  地面は一面芝生で、コンクリートが見当たらない。  そして麻里を囲む強面さんたちの格好が、鎧だったり、冒険映画に出てくるような格好だったり。  少し視線をずらしてみれば場違いなというか、そこの白いお城には合ってるんだけど、シンプルなドレスを身に纏うポッチャリを通り越して小太りな、見た目とっても残念な女の子と、王子様みたいな綺麗な男の人が立っていた。 「コスプレ?」 (いやもう、何なの? これ。本当、意味分からん)  まとまらない頭でぼんやりそう思っていると、車を乱暴に扱う強面さんに気付いて思わず叫んでしまった。 「ちょっと、車に傷つけないでよ! まだローン残ってるんだから!!」
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