灰色の少年

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「リリアちゃんに関わることですけど、私はリリアちゃんにもリリアちゃんの友達にも傷付いて欲しくないと思っています」 「周りくどいな。はっきり言ってくれ。人外だってだけで襲ったりはしないから」 アレンが人狼であること、誰かがアレンにリリアの大切な物を得ることで人間になれると嘘を吹き込んだらしいことをサラは話した。 「今からアレンのことを占ってみようと思います。オルゴールを取り戻すためにも」 グレンがうなずくのを見てサラは立ち上がった。水盤に水を入れて戻ると、魔法陣の中心にそれを置き水面の揺れが静まるのを待った。 ナイフの先で指を突くと、ぷくりと赤い血が浮き出る。さらに少しだけ刃先を引く。 水盤に滴り落ちる血をグレンも息をつめて見ていた。 夜は占いの力が高まる。さらに魔法陣の上でその力はより強くなる。 水盤に映し出されたのは深い森の奥。岩山に切れ目があり、その奥が洞窟になっている。 アレンはその前に立っていた。その手にはリリアのオルゴールが握られている。 水盤の様子が見えないグレンにも分かるように、サラは見えている景色を伝えながら、さらにその先へとアレンの様子を探っていく。 アレンの前に誰かが立っていた。 その相手がアレンに向かって手を伸ばす。オルゴールを受け取ろうとしているようだ。けれどアレンは躊躇っていた。 オルゴールを後ろ手に隠すようにして、目の前の相手に何かを言っている。 サラの占いでは声までは聞こえない。 やがてアレンは洞窟から離れるように駆け出した。雨の中を走ってたどり着いたのはサルマンホテルの前だ。 「アレンはリリアちゃんにオルゴールを返しに行こうとしているわ」 ほっとしたのも束の間、ホテルの警備員によってアレンは取り押さえられてしまう。 その手から逃れようと狼の姿になったアレンを見て警備員やホテルの客たちが騒ぎ始める。 そこにやってきた支配人の手には猟銃が握られていた。
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