第一幕 ― 禁断の書 ―

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 画面に映る自らの苦しみ悶える表情その右側から、斧で刺されたのか額を陥没させ脳みそと血を垂れ流した女の顔半分がゆっくりと現われ始めた。 「あぁぁぁ……」  必死に周囲に救いを求め言葉を発しようとするが声にならない。  恨みを込めた眼差しで睨みつける女――、 恐怖から自らの眼球は飛び出すかのように力が入り瞼を閉じる事が出来ない。  じわじわと迫りくる呪縛なのか女の両眼は間もなく画面に――。 『あぁぁぁ……、見ちゃいけない……、見たら殺され……、ううぅぐぅぅ』  必死の抵抗虚しく、やがて意識が遠のき微かに見える視界に女の両目がハッキリと映ろうとした次の瞬間――。 「プルルルルル――ッ、プルルルル――ッ」  突如鳴り響く携帯の着信音と共に画面がパッと明るく輝き、愛犬レムの可愛げな待ち受け画面を背景に親友である由紀の名が画面に表示された。 「ハァハァハァ……」  いつまでも収まる事の無い恐怖に、唇は真紫に染め上がり悪寒が走る。 「もしもし?  もしもし……、瑞希聞いてるの?」 『助かった……、ハァ……、ハァ……』  この出来事はまだ序章に過ぎなかった。  今夜……、 あなたのもとへ……、 「救われたくば――、両眼を合わすべからず」
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