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決して触れてはいけない……、
決して、開いてはいけない……、
警告したのに……、
あなたは――、
読み始めてしまった……。
くだらない物語の始まりを目に彼女は鼻で笑う。
「なるほどね。やっぱ、読者を引き込もうとする子供騙しじゃん。あんたさぁ、素直に受け止め過ぎだよ。瑞希は純粋すぎるのっ! あのね。恐怖の根底ってどこにあると思う?」
答えを見いだせない瑞希に対し、由紀は彼女の頭を優しく撫でる様に手を添えた。
「ここよっ。
全ての恐怖心は、自らの心理から作り出すの、脳で整理され描く怖さが心まで支配する。物語に入り込めるあんたは誰よりも想像力豊かな証、もうホラー小説なんて読むのやめなっ」
由紀の忠告に瑞希は小さく頷いた。
『お前、分かってないな……』
「うんっ?! 今、何か言った?」
瑞希が首を横にふる仕草に、気のせいか……と、由紀は物語の先を読み進めてゆく。
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