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「すまなかった。迷惑をかけて」 「ああ、そんなんはいいよ。どうせお金になるし。どっかで座って飲もうよ」  仲原は俺の肩に優しく手をかける。馴れ馴れしい女だと思いながらも今回の借りがあるため多目に見てやった。俺たちは車の少なくなった駐車場に戻り、車止めに腰を下ろす。  膨らんだコーラのプルタブを慎重に引いた。空気の抜ける音が徐々に大きくなっていく。そろそろ大丈夫かと思い切りプルタブを引くと、黒い液体が俺の顔めがけて飛んできた。目測を誤ったようである。結局俺はベタつく甘い液体を一身に浴びた。 「ほら、物を投げてもいいことはない」  俺が説教じみたように言うと、仲原は腹を抱えて笑った。俺の言葉に笑ったのか、コーラにまみれている姿を笑ったのかはわからない。 「そうだね。これからは気をつけるから。本当にごめんね」  仲原は笑いながら、コーヒーを口に運ぶ。次回お返しする品が今確定した。振ったとしても相手に喜ばれる飲み物を返さなければならないことに対しては少しばかり不服だったが。
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