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「大学は来なくなるし、職場は無断欠勤するし、一体何があったの?」
彼女は人の心に土足で踏み込んでくる恐ろしさを知らないのだろうか。そんなディープな内容を話せるほどの良好な関係性を築いてはいない。それとも彼女はそんな細々とした事情を端折ってずかずかと踏み込めるのだろうか。それであればかなり肝が座っている。
「まあ、話したくないならいいけどね」
しばらく無言を貫いていると彼女は負けを認めた。話す内容に抵抗があった。思い込みが度を越して心身に影響を与えているなどと弱々しい台詞を吐露したくはない。
「でもさ、人生には色々あるわけ。楽しいことから辛いことまで。凹んでても、私たちの日常は過ぎていく。今までの日常を返してくれなんて言っても時は戻ってくれないし、待ってもくれない。だから私たちは前だけを向いて歩いていくことしかできないんだよ」
仲原はやけに神妙な表情を浮かべていた。そして彼女の口から哲学的な答えを聞けるとも思っていなかった俺は動揺を隠しきれずにいた。だが、その言葉は心に重く、深く突き刺さっていく。
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