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宇宙人たちは人体実験ばかりしてるわけじゃなかった。俺が地球の流行から取り残されたりしないように配慮してくれたりもしたんだ。
空飛ぶ円盤には地球上に流通しているものと同じ種類のパソコンやテレビモニターが設置してあった。空飛ぶ円盤に乗って宇宙にいながらにして地球上のテレビ番組やネット動画が見れたんだ。文字による検索だって思うがままだったさ。俺は天安門事件だって知ってたし、バブルの崩壊やリーマンショックだって知ってた。911同時多発テロも知っていた。この四十年の間に元号だって二回変わったよな。俺は空の上から地球上の動きのすべてを見届けてきたんだよ。もちろん、おまえのこともな。
未解決のあの連続殺人事件。あれはおまえら警察上層部が与党の大物議員に忖度して捜査を強引に終わらせたから未解決なんだよな。なんだよなんだよ、そんなに驚かないでくれよ。俺は空の上からすべてをお見通しなんだよ。さっきも言ったように、俺は何だって知ってるんだぞ。
おまえには愛人がいるよな。高校を卒業したばかりの十八歳。おまえの長男より年下じゃないか。おまえはなんてひどい奴なんだ。真由美ちゃんという素敵な嫁さんがいながら、未成年と不倫するなんて、おまえは本当に人でなしだな。
おいおい。だから親友、そんな顔しないでくれよ。俺はおまえをどうこうしようなんて思っちゃいないよ。だって親友だもんな。俺たちの友情は、たとえおまえが警察の仮面を被った卑劣な極悪人だったとしても永遠不滅さ。
だから認めろよ。あの日、四十年前。おまえは取り引きしたんだろう。あの灰色の小さな宇宙人たちと。
おまえは宇宙人たちと取り引きした。そうなんだろう?
誘拐された直後、おまえは俺とは引き離されて別な部屋に連れてゆかれ、宇宙人たちからテレパシーで尋ねられたはずだ。
「君たちふたりのうちで成績優秀な優等生はどっちのほうなんだね?」とな。
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