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 僕は、彼女に渡そうとした花束を抱えて家までの道のりを歩いていた。花は、買ったときと変わらず綺麗なままだった。 「黄色のクロッカスの花言葉って…」 “私を信じて”確かそうだ。何かのテレビでやっていた気がする。今の僕には到底似合わない代物であった。  最愛の彼女に捨てられた僕は、一体どうすれば良いのだろうか。そんなことをぼんやりと考えて、意味もなくただ街を見下ろした。街に流れる時間は今日も昨日も変わらないものだ。
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