9.鎮圧

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9.鎮圧

「いい加減にっ! しなさーーーーーーい!」  目に光りが灯っていないという、見た目からもわかる危険な女子二人。それを相手に、二刀流状態でアクロバティックに攻撃を受け止める狐乃音。  狙い、狙われな人たちを、どうにかして守り抜こうと奮戦。  でも、そろそろキリがないので、一気にケリを付けることにした。 「あぶないでしょ!? もうおやめなさあああああいっ!」  狐乃音は力を込め、小太刀と十手で相手の業物を強く叩きつけた。  バァンッという鈍い音とともに、衝撃を受けた二人は仰け反って、僅かな間合いができた。それこそが狐乃音の狙いだった。 (のっくばっくこうかです!)  そして狐乃音は、小太刀と十手を投げ捨て……。 「うきゅーーーーーっ!」  代わりに、どこからか水に濡れた手ぬぐいを取り出した。  それを鞭のようにしならせて、一本、二本と、相手の凶器にくるくるっと手早く巻き付けてから強く引いて、手の届かないところにポイッと奪い去っていた。  完全に、時代劇のまねごとだったけれど、効果はてきめん! 「ふふふのふ! スターライト・手ぬぐいなのです。一度やってみたかったのですよ、これ。……さあ、観念してくださいなのです!」  その手ぬぐいも、何故だか金色に輝いていた。  あっという間すぎる出来事に、やられた二人は呆気にとられていた。 「それだけじゃありませんよ! 荒んだ心を、落ちつかせてください!」  狐乃音は、自分の狐尻尾のボリュームを十数倍にアップさせた!  そして、敵対しあっていた二人をまとめてくるりんと包み込み、もふもふの海に漬け込んで毒気を抜いてしまったのだった。
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