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「はあっ!?
ちょっと待ってよ、なんでそうなるのっ?
楓くんを苦しめたのは私だし、私たちのためにしてくれた事だしっ……
どんな結果になったって、重松を恨んだりするわけないでしょおっ?」
「いえ、たとえお嬢様がお許しくださっても。
私自身が、裏切った事を許せないのです」
そう言われたら、何も返せなくて。
どうすればいいかと思考を巡らせ……
名案を思い付く!
「わかったわ。
だけど、生涯味方でいてくれるのは変わらないわよね?
私が困ってたら、助けてくれるのよね?」
「もちろんです。
その時は何なりとお申し付けください」
「ありがとう。
じゃあ早速だけど。
夫が忙しすぎて、夫婦の時間が取れなくて困ってるの。
だからこれからは私の夫を、秘書として助けくれない?
いいでしょう?」と、すぐさま楓くんにもうかがうと。
「もちろん。
俺からもお願いします」
「いえそのような大役、私などに務まりませんっ」
「ううんむしろ、重松以上の適任はいないわ。
許せないと思うなら、仕事で晴らして?
だいたい、そう簡単に親子の縁が切れるわけないでしょう?
私も重松の事を、父親のように思ってるんだから……」
照れくさくて言えなかった事を伝えると。
「……身に余る、光栄にございますっ」
重松は片手で目元を覆って、そう声を震わせた。
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