ぐちゃぐちゃB

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「あと杏音に、少しでも愛されたかったから……」 ズギュン!と胸を撃ち抜かれて。 狂おしいほど、愛しくてたまらなくなる。 「大好き楓くんっ、愛してる…… 少しどころか、一生有り余るくらい愛してるしっ。 お揃いも、これからいっぱい作るから!」 すると楓くんは、一瞬面食らって。 「ヤバい、幸せすぎて……」 胸元を握るようにして、そう顔を歪ませた。 えええっ、ほんとにっ!? こんな事でっ? だとしたら嬉しいけど…… 「……これからもっと、幸せにするから」 そう、生まれて来てよかったと思えるくらい…… 「いやそれ、俺のセリフだから。 それに俺だって負けないくらい、杏音が好きだし…… たぶん異常なくらい、愛してる」 と切実そうに告げられる。 いや20年もストーカーしてた私の方が異常だから〜! なんて思ってたら…… 後頭部に手を添えられて、楓くんの顔が近づいてきた。 ぎゃああ!そんな愛しそうなゾクリとする目で見ないで〜〜。 「む、無理っ!」 キャパオーバーで、とっさに顔を背けてしまう。 「……は? なんでだよ。 ただでさえ、さっきから名前を呼ばれまくって堪んないのに。 やっと杏音が俺のものになって、嬉しくて発狂しそうなのに。 けど絶対やめれない自信があるから、ずっと我慢してたのに…… だから、俺も無理」 と向き戻されて。
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