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継母は目的のためなら、どんな卑劣な手段も辞さずに何でも奪う人間だ。
私もこれまで、さんざん居場所を奪われてきた。
だけど、この会社だけは渡せない。
だから私は、琉司より後継者に相応しいと認められるために……
少しでも多くの業務知識を身に付けたり、会社の内情を把握したり、従業員の力になって絆を築こうと考え。
高卒で入社して、大卒の資格を通信で取りながら、必死に努力してきた。
父からしてみれば……
そうやって結果を残してきた私を、なにより血の繋がった娘を、後継者にしたかったんだと思うけど。
工業系の会社だから、男社長の方が有利な事や。
継母の手前、息子を選ばざるを得ない状況から……
最終的にその判断を、株主総会に託したのだった。
遺言で、預貯金は継母が相続したものの。
父が保有していた自社株の60%は、私と琉司に30%ずつ承継される事となり。
社長になりたかったら、実力で勝ち取れとの事だった。
それなら、全ての金銭が手に入る継母は異議を出せず。
より実力のある方が後継者に相応しいのは当然だから、その決め方にも文句のつけどころがないからだ。
そして決まるまでの間は、専務である叔父が代表取締役を任されていた。
ただし……
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