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だから腑に落ちないと思っても、断るはずがない。
とはいえ……
「復讐?」
やっぱりそこには食い付いた。
「そう、復讐。
私は今まで、継母と弟から色んなものを奪われてきた。
そのせいで辛い思いをたくさんしてきた。
だけど、ここからは私のターンよ。
奪った人間は、奪われるべきなの。
だから私は、2人が1番欲してる社長の座を奪って、復讐してやりたいの」
復讐を正当化するように言い放つと。
目の前の男から、溜息混じりに笑みがこぼれる。
「だからって、俺に婚約者とか彼女がいるとは考えなかったんだ?」
「いないのは調査済みよ」
「こわ」と吹き出す楓くん。
うっ、そうよ……
どうせ私は楓くんのストーカーよ!
恥ずかしくて居た堪れなくなる。
「と、とにかく!
いても別に構わないわっ。
結婚って言っても形だけの、契約関係でしかないんだから。
その代わり、周りには絶対バレないようにして。
評価が悪くなるから」
「なんか、結婚する方向で話が進んでない?」
しまった!動揺してっ……
なに先走ってるのっ?
なにその気になってんの〜〜。
「だ、駄目なのかしらっ?」
精いっぱい虚勢を張ってみるも。
バレバレなのか、グーの手を口に当ててクックと笑われる。
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