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色々と気を煩わせて、ごめんね……
でもこの会社はあなたのものよ。
私が絶対、そうさせてみせる。
そのために残業して、全ての業務を把握して、会社や従業員のために出来る限りを尽くして、ここまで上り詰めたんだし。
そうやって少しでも楓くんの力になれるように、頑張ってきたんだから。
「ごちそうさま。
お礼に、何か出来る事があったら手伝うわ。
社長を任せられるのは、あなたしかいないのに。
こうも遅くまで残業されて、身体を壊されたら困るもの」と。
お礼を口実に、不安を拭いながら追い込んでる状況の改善を試みる。
すると楓くんは、情けなさそうに微笑んで。
「ありがとう。
じゃあさっそく、手伝ってもらっていい?」
と、私のすぐ傍までやって来た。
「え、PC使うなら待って」
自分の作業を中断しようとした矢先。
いきなり迫ってきた楓くんの顔が、キス寸前のところで止まって。
私の心臓も身動きも止まる。
「キスしてくれたら、疲れも吹き飛ぶし、仕事も捗るんだけど……
そのためなら出来そう?」
「かっ……
会社で出来るわけないでしょうっ!」
なんとか顔を背けて、金縛りならぬ楓縛りから逃れたものの。
「って事は、家では解禁なんだ?」
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