ジンジン

22/33
前へ
/356ページ
次へ
服も着替えようかと迷ったけど…… 楓くんもナイトウェアだったから、パジャマにルームカーディガンだけ羽織って、その部屋を訪れた。 「あれ、化粧したんだ? すっぴんもすごく可愛かったのに」 なにその褒め殺し! ていうか、やっぱり見られてたんだ…… 恥ずかしくなったのも束の間。 「じゃあ適当に座ってて」 リビングに誘導されて。 ああっ、楓くんの生活空間! 夫婦なのに今さらそれに感激する。 今まで足を踏み入れた事はあっても、こんなふうにお邪魔するのは初めてで。 どうしよう、緊張してきた…… ドキドキしながら、大きなローソファーに腰を下ろした。 テーブルにはすでに、チーズや生ハム・生チョコなんかの盛りあわせが用意されていて。 飲み物を訊かれた私は、それらに合いそうなロゼのデザートワインをチョイスした。 「お疲れ様」とグラスを合わせると。 口にしてすぐ、「甘っ」と驚く楓くん。 「飲んだ事なかったの?」 「うん、これ営業先でクリスマスプレゼントにもらったヤツだから」 「そう」 さすが楓くん! そういえば棚にも、プレゼントらしき物がいくつか置かれてるし。 結婚指輪をしてても、相変わらず恐ろしくモテてるんだろうなぁ……
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

446人が本棚に入れています
本棚に追加